Interview with PORTAL : The Curator May 2013


1994年にオーストラリアで結成されたデスメタルバンド、PORTAL。
独特な世界観とサウンドに加え、異形という言葉がふさわしいライブ。禍々しさ、ミステリアス、混沌の世界が表現されサウンドだけでなくビジュアルでも強烈な個性を放ち、欧米ではそのステージングとサウンドで話題に。2013年には4thアルバム Vexovoid を発表。
なんと2013年に来日公演が決定。来日を前にしてフロントマンでヴォーカリストの”The Curator”がインタビューに答えてくれた!


まず最初に、Portalの音楽について聞かせてください。
Portalのアルバムでは、現在でも数多くのテクニカルなギターワークを聞くことができますが、1998年のデモではよりギター中心のサウンドでした。
その頃は「恐怖」の雰囲気を作り上げることよりもよりギターワークの方が重要だったのですか?

恐怖の雰囲気を作り上げることは、我々の出力の鍵だ。
しかしながら、初期作品では我々が今日目の前に呼び出す完全な真の恐怖にはまだ発達していない状態で、ラヴクラフト航法によるワープしたものだった。


音源のリリースを重ねるごとに、Portalの音楽性はより混沌として不気味なものになっていきました。初期と現在のPortalの一番の違いは8弦ギターによる凄まじい重低音サウンドです。8弦ギターは低音地獄への入り口を広げてくれましたか?

範囲拡張楽器は、我々の限界値を広げてくれた。しかしながら、我々はそれだけに頼っている訳ではない。

Portalの音源はいわゆる作り込み過ぎの「キレイ」なサウンドではなく、90年代のデスメタルのような混沌としてダークな音作りです。オールドスクールな雰囲気を保っているのは意識的にそうしているのですか?

デスメタルにおいて正確な演奏やクリアなサウンドはふさわしくないと信じている。また、それはデスメタル本来の意味を破滅させる。
凶暴性とは、正確な演奏ではなく、生々しく自然事象の中にある。そして、オールドデスメタルバンド、特に私の考えるデスメタル黄金時代、1988年から1994年頃のバンド達はそういったことを巧く解釈していた。

クトゥルー神話で一番好きなキャラクターは何ですか? また東洋のホラーと西洋のホラーの違いについてどう思いますか?

イブ-ツゥトルです。
なぜなら彼はしばしば見逃されてしまうほど目立たない存在で、その物珍しさに興味をそそられるからです。
アジアのホラーは我々西洋人のものと違う何かを持っています、それ故に、私は興味をそそられるのです。我々はあなた達から学ぶことが多くあります。




あなたのステージ衣装は独特なものですね。2009年にアデレードでのライブではラヴクラフトの「銀の鍵の門を超えて」に登場する「棺形の時計」を彷彿とさせる衣装でした。クトゥルー神話が影響のひとつであることは明らかです。
クトゥルー以外にも影響を受けたものなどはありますか?

衣装作りでは様々なものからインスピレーションを受けている。ラヴクラフトはその1つでしかない。
その時計の断片「冒涜人頭(Blasphigurehead)」は、映画 “Bloodbath at the house of death” (邦題:スプラッターハウス/笑激の館) とカトリック教会の懺悔室から影響を受けている。
本質的に、それは冒涜室とでもいうべきものだ。

"The Lurker at the Threshold ※”というタイトルのデモをリリースしているので、あなたはいわゆる「ラヴクラフト原理主義者」ではありませんよね?
しかし、あなた方の音楽の雰囲気は、ラヴクラフトの純粋な宇宙的恐怖の方に近いように感じます。それについてはどう思いますか?

我々の活動の初期にはクトゥルー神話などから拝借していたが、後に我々自身のコンセプトや多元宇宙を開発することがより良いという事を確信した。

最後に日本のクトゥルー教信者達に一言!

サポートありがとう!そしてあなた達のすばらしい国で演奏できることを楽しみにしています! 悲報を!



※ The Lurker at the Threshold"(邦題「暗黒の儀式」)はラヴクラウフトの作品を元にクトゥルー神話を体系化したオーガストダーレスの長編作品。
オーガストダーレスやブライアンラムレイの「善と悪の戦い」的なクトゥルー神話。